星の数ほど

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語彙力がないオタクの備忘録

そして名探偵は生まれた






歌野晶午さん単体では初読みでした~
なかなか新しくて面白かった








そして名探偵は生まれた
影浦さんめっちゃ好きだなって思った。現実に小説みたいな事件は起こらない、とかなり理論的に話してたけど、ミステリの世界の中でそれを否定していいのか!? とびっくりしたよね。結構リアリストだなと思った。
影浦さん二面性ありますよね。そこが人間らしくていいと思うんだけど。客人がいなくなったら速攻でだらしなくなって、二言目には金!金!って......あんまり儲かってないんですかね。
探偵が事件を解決した!って大っぴらにしてる工藤新一がいれば、その栄光はスコットランドヤードに譲ると言ったシャーロックホームズもいる。まぁ、私立探偵としては宣伝にもなるから名乗り出たいよね。分かる。警察相手に過去の事件を引き合いにして(名刺まで出して)営業してるのめちゃくちゃ笑ったよねww 商魂たくましい......。
密室の謎自体は、たいしたことなかったというか......。なんせ武邑くんが勢い込んで行っちゃったもんだから、どうせ見落としとかあるんだろうなと思ってたし(実際そうだったから)、そんなにびっくりしなかったかな。肝試しの話とか、色んな要素が絡まってたのは面白かったと思う。
武邑くんが見てた映画のストーリーも気になってただけあって、影浦さんがサラッと解いちゃったのはもったいないなーと思った。もっと味わいたかった。助手はいつでも観察力と推理力が足りないものですね。
まさか影浦さんが死ぬなんて、思ってもみなかった......。そしてその犯人が武邑くんだったなんて。彼は探偵の理想像を強く持ちすぎてて、そこから大きく外れた目の前の名探偵が許せなかったんだろう。みんなの前で推理する時、本当に格好よくて、タイトルの回収だ!!って感動したのに。とんでもない人だった。色々返してほしい。例えここで大成功しても、影浦さんはいないから、正真正銘の名探偵にはなれないんじゃないかな......とちょっと心配になりました。
このコンビで続き物が読みたいと思ってたから残念だな......。




生存者、一名
孤島だ!!と喜んだのも束の間、某事件を彷彿とさせるような状況に、緊張感を覚えた。私は宗教とかちょっとよく分かんないけど、信仰対象のいる人達の心理ってこんな感じなのかなと思った。
そりゃ普通に考えれば島流しだよな! いくら食料あってもねぇ。仁美のあざとさがなかなかムカつくなと思いながら読んでました。こういう状況でも身体を使える女、すこぶる強か。
二人の妊娠のくだりはうーん......って感じだった。特に三春のつわりのところとか。すんなり納得できなかったんだよなぁ。お互いにお腹は目立たなかったわけだし、本当に二人とも妊娠してたか怪しいな......と。残された子が何週目で生まれたのかは気になるところ。母は産褥熱で亡くなった可能性アリというから、結構生まれた直後に助けられたんだろうか。
これ終わり方めちゃくちゃ上手いよな......。どっちの漢字も入ってる......。結局どっちなんだ......。
間に新聞の記事が挟まるのもいいなと思ったけど、男児なのに男性って書かれてるのはあまりにもミスリードがすぎない?とは思ったよね。ずるいわ......。




館という名の楽園で
ミステリーマニアで、館に憧れて、ついには建てて住んでしまったと。その時点でもう最高!!って感じだった。奥様が車椅子に乗ってるのも、招待されるのも、水車館のイメージと被せて読んでました。
招待状の文面に何やらチクチクしたものを感じつつ、館の構造に頭を悩ませながらも楽しめたかな。私の予想では「1つしか館がなく、回転して誤魔化してる」と思ってたけど、それだとお金かかっちゃうしな......と堂々巡りしてました。W・E・Mが何かありそうだなとは思ってたけどな......いつも雰囲気で「何かありそう」と思って終わってしまう。
推理ゲームとても面白かった。死体役がやたらとベラベラ喋るところが特にね、笑。「俺分かっちゃったんだけどなー! 言いてぇなー!」って空気読まない子どもっぽいところ、めっちゃ面白かった。執事も「契約終わったんで」ってあっさり帰ろうとするの新しすぎかよ......。
リドルストーリーのような結末、多分バッドエンドだよな......。義足の奥様がどうやって塔を登ったのか気になるけど、それも明かされないまま終わったし。映像化もできそうな作品だなと思いました。




夏の雪、冬のサンバ
日本が舞台なのに外国人がたくさん出てくるの、初めて読んだ。みんな不法滞在
ww こんな形で警察呼べない事情を作り出すのはお見事すぎる。探偵のことを「警察と癒着してるやつ」ってぶった切ってたの面白すぎた。いや本当のことなんだけどね......。
本名ではなくあだ名で呼ぶのは、さながら十角館か。今回は時間と雪がポイントになってて、要素をばっちり押さえてるなと思った。あとボロアパート大事ね。ほんとに途中まで床が傾いてることを見事に忘れてたから、気づいた時は本当にびっくりした。
それにしても死体を動かしたことで犯人が出てこれなくなってたとは。現場の保存をしてたら逃げられてたんでしょ......。そこも推理小説へのアンチテーゼみたいで面白いよね。









新本格のド王道シチュエーションを扱いながら、その中身は全く新しい。キャラクターや設定がどれもこれも面白かった。
ただ、トリックというか、ミステリー的に大切な部分が、どうも好みではない感じがあったかな......。短編集だから仕方のない部分はあるのかもしれないけど。
様々な時代のミステリーをリスペクトしている雰囲気は充分に伝わってきた。そしてあえてそこに挑戦しようとしていることも。
全体的にサラッと読めて、可もなく不可もなくって感じだったから、「葉桜~」も読んでみようかなと思いました。





2018/08/27~08/30