星の数ほど

星の数ほど

語彙力がないオタクの備忘録

闇に香る嘘






重く硬い内容だったと思う。これをミステリーとして読むべきか? 判断に迷いながら読み進めていた。




あらすじも大して確認せずに、タイトルとポップと上から掛けられた真っ黒な表紙に目を奪われて買った。正直、あまり面白いとは思えなかった。満州事変に残留孤児、内容がとにかく重く硬い。




全て見えないからこそ、この話は出来上がるのだけど、その描写も退屈というか。日常生活が困難な様子や、常に暗闇に包まれている不安はよく分かったけど、感情移入はしにくいなと思った。劇的に描こうとして、波を立てようとしているけどそこまで惹き込まれなかったな。
ミステリーかと思って買ったけどそうではなかったから、肩透かしだと思ったのかもしれない。ご高齢の頑固そうな男が主人公だったから、感情が揺れ動かなかったのかもしれない。読み進めるのにだいぶ苦労したし、やっと読み終わったと思った。
兄が本物かどうか、その他にもたくさんの不可解な点が出てきて物語を紡いでいるが、それらが全て解決したところでとてもすっきり! となるわけではなかった。なんとも中途半端な気持ちになった。たくさんの風呂敷を広げておきながら、ちょっとグチャグチャに畳まれた感じ。





家族の真相が分かったところは、主人公と同じような気持ちになれたと思う。ただ、親子の和解の場面はどうも納得がいかない。自ら見捨てた親と復縁したかったのか、あの娘は。そこが理解できなくて、もやもやしながら読んでた。周りの人がついていた嘘は主人公を守るための温かい嘘だった、というのはよかったと思う。
あともやもやしているのは、実兄に騙らせて手術したことだろうか。それいいの? 犯罪でしょ? と真面目に考えてしまった。バレなきゃいいのか。そこから何もなかったように大団円となってしまって、ただ晴れない気持ちだけが残った。




『見えない』描写が単調に思えたし、わざわざカギカッコで括られる兄も、どの兄だか一瞬で理解ができない(読みづらいのに目が滑る)。前半はあまり何も起こらないかと思えば、後半には畳みかけるように災難が襲いかかる。物語全体の緩急やバランスがよくないように思えた。
あとはやっぱり薬。小さい頃の記憶が曖昧なのはまだしも、現在の記憶も薬のせいで曖昧になっていたし、どうしても主人公を疑わざるを得ない状況が続いて「こいつ何言ってるんだよ」とずっと思っていた。主人公や語り手が記憶障害持ちというのは、ミステリチックな作品にはそぐわないと思う。
家にいたはずなのに気づいたら外だった、という場面は伏線回収されてたかな。されてないように感じたけど。そこもさらにもやもや。




分かった、江戸川乱歩賞だ。
この賞取ってるからにはミステリーなんだろうと思って買ったんだ。でも読んでみたらそんな雰囲気ではなかった。読み慣れた空気ではなかった。だから評価高くないのか......。(ちょっと調べてみたら、このミスとかにもランクインしてた。まじかよ......。)
私は読書に没入感を求めていて、今回はそれがなかった。だから面白いと感じなかったのかな。普段は感情移入とか考えないのに、なんで今回は引っかかったんだろう......。私の中でリアリティがなかったのかもしれない。




まぁ初めての作家さんだったし、合わなかったということで。重めな話が読みたいと思ってたから、その点はよかったかな。






2018/09/03~09/07