星の数ほど

星の数ほど

語彙力がないオタクの備忘録

迷路館の殺人

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つよい.........................

 

 

 

 

 

 

 

久々の読書は重いのがいい、という気分だったから迷路館をチョイスしてみたけど、ここまで鮮やかに裏切られると逆に気分がいいもんだな......。これはすごい。

 

 

 

 

 

 

これ以降ネタバレ注意ですよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作中作があって、さらにその中にも作品がある、多重構造になっている。(これを額縁作品というのは初めて知った。) そして舞台は迷路館、私の苦手な見取り図! 本当に館シリーズ向いてないなと思うけど、面白いから読まずにはいられない。どこをどう歩いているのか、部屋の配置など、混乱しながら読み進めていた。

 

 

 

中盤がちょっと急ぎすぎたというか、立て続けに殺人が起こりすぎて、もう少しゆっくり進んでくれてもいいのに、と感じた。しかし作者もあとがきで述べているように『作中作を掘り下げて複雑にすると受けなかったと思う』。読み終わってみて、私もそう思った。決して軽いとは思わなかったけど、めくるめく展開に心奪われたのは事実。

通路の勘違いやキーボードの配置によるダイイングメッセージの解読は、ある程度検討がついていた。私が軽く考えていたもの(やっぱり井野さんが犯人説)は当然大ハズレで、それでもあれやこれやと想像をめぐらせるのは楽しかった。不可解な謎が次々に浮かび上がり、十分な推察も出来ないままフィナーレを迎える。生き急ぎすぎている気もしたが、そのスピード感もまた面白さのひとつとなっていたことに間違いはない。

それにしても相変わらず遺体はグロテスク。想像できないじゃないか、どうしてくれる。脳内でモザイクをかけるのに必死だ。そこ、死体を検めるな!(泣) まぁこれも、描くのが上手いからこそなんだろうけど......。

 

 

 

しかしこの出血の正体、読んだ男性諸君は納得いったのだろうか。私は.......どうだろう。確かに過度なストレスがかかると周期は乱れると思うし、あの場でなってしまったというのは分かるけど、そこで絨毯に血液がつくというのはイマイチ想像できない。床に寝てたならまだ納得できるんだけど。床に座り込んで数分間、呆然としていたのだろうか。

引っかかることは他にもある。作中作の表現が違っていたことには意味があったのか。作中作の地の文に書かれた一作目と、ワープロに残っていた一作目は死体の状況が違う。そこの説明はあっただろうか。単に読み落としただけか......? このあたり、再読して確かめたいところ。

 

 

 

建物に隠し扉や秘密の通路があってはならない、という鉄則はこのシリーズには通用しない。それをどうしても忘れてしまう。やっぱりどこか「ずるいな」と思ってしまう……。

そこにいる人、いない人、死んでいるはずの人......。綾辻作品というか館シリーズは、館に仕掛けがあるからこそ、このあたりが曖昧になっていて無限に推察が広がっていくような感覚になる。もしかしたら外から、とか、実は宮垣先生は生きていて、とか、ミスリードもよくあるし可能性を絞り込めない部分が多いなと思った。

 

 

 

 

しかしまぁ、鹿谷が島田潔だったとは......。ついに小説家になっちゃいましたか......。まぁ現場に居合わせた時のことを考えると、素人探偵よりいくらか幅はききそうだよね(メタ)。

今回は作品全体を通して「明確に書かないことによるミスリード」が多用されていたわけで、しかもそれが冒頭から......。この読後感はたまらないものがある。しばらくニヤけが止まらなかったもんなぁ。性別の誤認、いいなぁ。古典的だけど素敵な描き方だ。本当に意外で、しばらく目を見張っていた。

夢のような動機から作家が連続殺人を犯したかと思えば、本当はかなりリアルな動機を持って行われていた。この、まさに目も覚めるような真実の暴露の仕方がまたよい。どうするのかな、気づいた本人は。含みのある感じも、想像を巡らせるにはちょうどいい。

 

 

 

ミステリの定義的なところとか、フェア/アンフェアの話とか、きっと綾辻さんが気にしているんだろうなという作者目線の話もあって面白かった。

全体的に完成度は高いけど、素直に拍手喝采とはいかない感じもある。穴があったとは思わないけど、細部が気になったりする。これが若さってやつなのかもしれない。

 

 

 

 

2018/10/02~10/04