星の数ほど

星の数ほど

語彙力がないオタクの備忘録

放課後












好きな作家のデビュー作、やっと読めたという思いが強い。
洗練されているわけではないが、雑味もいい味になっているという印象。








女子高生の描き方が少しねちっこいと感じた。そういう目で見ているのか?と疑う程度には。
高校が舞台だからといって、爽やかさはあまりない。ゆっくりと流れていく日常の中に、非日常的な殺人事件が二つ。伏線は散りばめられ、いつまで経っても容疑者は絞り込めない。じりじりと進むことにやきもきしながら読んでいた。



時代を感じる描写が多かったな、と思う。体操服はブルマだし、おそらく携帯電話なんてないし、部活の顧問だからって毎日監督するわけでもない。ある意味ゆるいとも言える、物語全体を包むそういった空気が、昭和を連想させた。



もしかすると、とても現実に即しているのかもしれない。限りなくノンフィクションに近そうというか。普段読んでいるミステリーによくある、浮き足立った感じはなくて、地に足が着いていると思う。
少しずつピースが集まり、全体像が見えてくるたびに、ぞわぞわした感覚になった。特に、心張棒が囮だったところ。前島さえも囮にしたところ。そこまで用意周到に仕組まれたものだとは思いもしなくて、彼女達の深い憎悪に悪寒が止まらなかった。やると決めたからには、という覚悟すら伝わってくるようだった。



最後の場面、蛇足だと感じる気もした。結局は狙われていたことになる。高校とは全く関係のない所で、だけれども。この後彼は死んだのか? 想像させる終わり方となっていた。彼が死んだことによって、この事件は迷宮入りになるのではないだろうか。きっとケイも恵美も、何も言わない。







高校生という特定の年代、子どもと大人の間にいる彼女達しか持っていない感情、情動、そういったものがよく描かれていたと思う。学校という狭い世界で、多感な時期で、大人からしてみればたったそれだけ、と思うようなことでも本人達には重大だったりする。そのあたりの機微を上手く描写していた。彼女たちの言葉や行動から影がチラついたりするのも、憂いを帯びる感じがよい。私はそんなに揺れ動く青春時代を送ってこなかったけど、まぁ、気持ちが分からなくはないかな......。大人からしたらマセガキと思わなくはないけど、等身大だとも言える。難しいよね、女子高生......。彼女達の心のザラつきが、文章を通して伝わってきたように思えた。









いつもみたいな、読んでいて気持ちいいと思えるものを期待していただけに、すこし重い空気をまとっていたこの話は、私の希望には沿わなかった。デビュー作だし、と思ってハードルを下げてたけど、ぎりぎり越えてきたかなという印象。刊行順に読んでいって、変遷を楽しむのも面白いかなと思いました。








2018/10/17~10/19